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Text File  |  1994-11-16  |  2KB  |  34 lines

  1. 553/553   WST00364  和田 光平         背戸の馬も相口(尾張)
  2. ( 8)   94/05/06 16:36
  3.  
  4.    背戸の馬も相口(尾張)
  5.  
  6.   背戸とは裏口のことです.そこにつないである馬が実は問題なのです.このコトワザ
  7. には,先行する別表現のものが存在していました. 「人食ふ馬も合い口」と言い, 人に
  8. 噛みつく暴れ馬( 暴れん坊) でも頭の上がらない人がいるもんだとの意味です. 
  9.  「古代史の潮流」( 謝世輝, 原書房,1994)によると, 人類が都市国家を作ったのは
  10. ほんの7000年前にすぎません. メソポタミアの南部で紀元前5300年頃,3メートル四方の
  11. 小さな祠が集落の中心に作られています. それが紀元前4200年になると基壇の上に10.5
  12. ×4 メートルの主堂が建てられるまでになりました. どうしてこんなことになったか. 
  13.   狩猟しか知らなかった人類が栽培を覚え, 食料を蓄え始めたからです. 物を蓄える
  14. 中心が即ち神殿になり周辺が都市になります. 
  15.   次に訪れた, 技術の大変革が, 馬との出会いでした. 二頭の馬にくびきを付けて引か
  16. せる戦車を発明したのはアーリア人. この頃はまだ乗馬の技術はありません. 
  17.   アーリア人は紀元前2000年頃までは, ウクライナから東ドイツにいたる地域に原住し
  18. ていたことが今日分かっているそうです. 彼らの戦車と弓の前に, 数々の文明が倒され
  19. て行きました. 馬と戦車の機動力がアーリア人の大移動を可能にしました. 
  20.   第一波の大移動は前2000~1700年. この時メソポタミアに進出した者はヒッタイトと
  21. なりました. 第二波は前1600年~1400年. そして第三波は前1200年でした. 
  22.   ヒッタイトは, 良く知られているように前1400年頃, 可鍛鉄を発明し, その技術を
  23. 独占しました. この卓越した技術優位により, 彼らは世界に君臨する古代の大帝国を
  24. 築きました. 鉄は農耕器具としても画期的でした. それにも増して馬に靴をはかせるこ
  25. とが素晴らしい発明でした. これで馬の力をフルに活用できるようになったからです. 
  26.   馬を最初に活用し, 鉄を発明した技術立国ヒッタイトは前1200年に突如として滅びて
  27. しまいます. 今もって謎とされる古代の不思議のひとつです. 
  28.   私たちが今日普通の技術とする乗馬( 騎馬) は前850 ~800 年頃, ウクライナにおい
  29. て, 発明されたものです. 第一に「あぶみ」次に「鞍」そして「ズボン」の三点セット
  30. がこの頃揃いました. 「あぶみ」は足で馬を固定できるため, ひとりで馬上から, 弓を
  31. 射ることを可能にした画期的発明でした. 戦車の時代は, 騎手ひとり, 射手ひとりの
  32. 二人だったものが, 一騎で戦えるようになったのです. 
  33.                           東海支社)和田 光平
  34.